宮城県-岩手県の移動に使える公共交通機関には「鉄道(新幹線・在来線)」「バス」があります。このうち、仙台-盛岡間を結ぶ高速バス「アーバン号」を利用する機会がありました。
そこでこの記事では仙台-盛岡を結ぶ高速バス「アーバン号」の利用方法、利用してみての感想や気付きを紹介。気候の厳しい季節でもゆったり快適に移動できる可能性あり!なオススメできる移動手段です。
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記事の目次
運賃は片道2,980円。お得な回数券も
アーバン号は5つのバス会社が共同で運行する、仙台-盛岡間を結ぶ高速バス。平日は片道15便ずつ(15往復)、休日は片道20便ずつ(20往復)運行されています。
運賃設定は3区分。2018年9月23日(日)時点における、各区分ごとの片道運賃(税込)は次のとおり。
- 大人:2,980円
- 小児:1,490円
- 障がい者:1,490円
※「大人」は中学生以上。「小児」は1歳以上6歳未満の幼児および小学生。
運賃の支払いは「降車時に現金で支払う」「事前に乗車券を購入する」のいずれかの方法でおこないます。
「降車時に現金で支払う」場合は事前の手間なくバスに乗車できる点がメリット。デメリットは降車時には運賃ぴったりの現金を用意する必要があることです。
一方「事前に乗車券を購入する」場合のメリットはおつりが返ってくること。ただしこちらは乗車券(片道券)の有効期限が購入当日のみ(=前日以前の購入不可)になっています。
ちなみにもし「往復乗車する予定である」「複数人で乗車する」場合であれば、運賃の支払い方法としてよりオススメしたいのは回数券(往復券)の購入。
アーバン号の回数券は、仙台市内と盛岡市内それぞれに設けられた乗車券売所で購入できます。チケットは2枚つづりで、価格は5,200円。運賃設定は大人のみですが、1枚あたりの購入金額は2,600円であり、片道券を2枚購入するより760円安くなります。
また2枚つづりのチケットは「2名・片道」でも使用できるため、片道を2名以上の複数人で移動する場合にも便利です。
有効期限も購入日から3ヶ月間と長く、有効期限内なら購入場所で払い戻すことも可能。3ヶ月以内に往復する予定であれば、回数券購入をベースに考えるほうが断然おトクです。
ここから先は「仙台→盛岡へ移動」「盛岡→仙台へ移動」する場合、それぞれでのきっぷ購入場所、バスの車両(外観と内装)、乗車~降車までの流れを紹介します。
仙台→盛岡への移動
仙台でのきっぷ購入場所
仙台市内でのアーバン号の乗車券(片道券・回数券)販売場所は仙台高速バスセンター(窓口営業時間:6時50分~21時00分)。
▼仙台高速バスセンターの外観
施設内には有人窓口もありますが、乗車券(片道券・回数券)の購入は自動券売機が便利です。なお「障がい者」区分の乗車券だけは自動券売機で購入できないため、有人窓口での対応となります。
▼窓口に向かって正面左手に自動券売機がある
▼アーバン号の乗車券は2台どちらでも買える(※右側のみクレジットカード使用可)
画面の指示にしたがい「路線(目的地)」「券種(片道・回数券など)」を選びます。あとは現金またはクレジットカードを投入して運賃を支払えば、乗車券が購入できます。
▼アーバン号の乗車券を買う場合は「盛岡」を選択
▼券種を選ぶ。今回は回数券で
▼最後に区分を選択
▼あとは現金またはクレジットカードで代金を支払い
▼クレジットカードで購入。領収書も発行できる
仙台発便のバス車両
バス運行会社(車両)は時間別に決まっています。今回乗車したのは東日本急行の車両で、座席数は4列シート×12列の計48席。車内にトイレは付いていませんでした。
▼東日本急行のバス車両
▼外から見えるように「アーバン」「盛岡」など表示がある
▼内装は一般的な4列シートの観光バス
▼天井には空調弁、読書灯、降車ブザーあり
仙台発便の乗車~降車まで
利用したのは土曜日の昼頃。仙台市内で乗車した人数は20名弱で、無理なく「1名あたり2席」を利用できました。
▼往復利用の予定だったため、回数券を購入
▼アーバン号(盛岡行き)の乗車は後方のバスのりばから
▼前方のバスのりばには「こちらではない」旨の注意書きもあった
▼利用当日(土曜日のお昼前)の待合所内の様子
▼待合所内にはバスの到着・出発時刻を表示した掲示板もある
バスのりばに車両がついたのは11時55分。5分後の12時00分には仙台高速バスセンターを出発しました。
仙台高速バスセンターを出発後、まずはフォーラス仙台横のバス停「広瀬通一番町」に停車。
▼広瀬通一番町のバス停留所
この後は高速道路に乗って盛岡へ。盛岡に着くまでの途中休憩は1回。場所は中尊寺PAで、休憩時間は5分程度でした。
▼中尊寺パーキングエリア
中尊寺PAを出発する前には、乗車人数の確認あり。休憩時間が5分と短いため、体調が悪いなどゆっくりトイレを利用したい場合には、トイレに行く際、運転手にひとこと伝えておくと安心かもしれません。
盛岡に到着後、盛岡市内でのバスを降車できる場所は盛岡駅のみ。バスは盛岡駅西口にあるバスターミナルで停車します。
▼盛岡駅西口のバスおりば
事前に乗車券(回数券含む)を購入している場合は、降車する際、運転席脇の運賃箱に乗車券を入れればOK。乗車券を買っていない場合は、運賃を現金で運賃箱に投入します。
▼乗車券を買っておいた場合は、紙の券をそのまま運賃箱へ
▼現金で支払う場合、運賃はバス車内前方のモニターでも確認できる
今回、仙台から盛岡までの移動にかかった所要時間は2時間25分ほど。以下は当日の実際のスケジュールです。参考にどうぞ。
- 12時00分:仙台高速バスセンターを出発
- 12時05分:広瀬通一番町に停車
- 13時15分:中尊寺PAに到着
- 13時20分:中尊寺PAを出発
- 14時25分:盛岡駅に到着
盛岡→仙台への移動
盛岡でのきっぷ購入場所
盛岡市内でのアーバン号の乗車券(片道券・回数券)販売場所は、盛岡駅西口(2階)のバスターミナルにある待合案内所(利用可能時間:7時00分~24時30分)。
▼待合案内所の外観
乗車券(片道券・回数券)はこちらも自動券売機で購入可能。ただし支払い方法は現金のみで、クレジットカードは使えません。
▼待合案内所に設置された自動券売機
画面の指示にしたがい「路線」「券種(片道・回数券など)」を選びます。あとは現金を投入して運賃を支払えば、乗車券が購入できます。
▼アーバン号の乗車券を買う場合は「仙台線」を選ぶ
▼続いて券種を選択。回数券は向かって右の大きなボタン
なお盛岡駅内の2階にはJRバスのきっぷうりばが別途設置されており、この脇に置かれた自動券売機でも乗車券は購入できるようです(券売機の上に「アーバン号」の表示あり)。
盛岡発便のバス車両
盛岡発のバスも、バス運行会社(車両)は時間別に決まっています。今回乗車したのは岩手県北バスの車両で、座席数は4列シート×11列の計44席。車内にトイレは付いていませんでした。
▼岩手県北バスのバス車両
▼内装は一般的な4列シートの観光バス
▼足元はゆったりめ。身長180cmの僕でも窮屈さは感じず
▼天井には空調弁、読書灯、降車ブザーあり
盛岡発便の乗車~降車まで
利用したのは日曜日の午前中。盛岡駅で乗車した人数は20名強で、ほとんどの人は「1名あたり2席」を利用できていました。
▼アーバン号は21番のりばから乗車する
▼バス到着前から乗車待ちの人で列ができていた
乗車に気がついた注意点がひとつ。バスのりばの周辺にはコンビニや自動販売機がないため、必要な場合はバスのりばに辿り着く前に購入しておきましょう。
バスのりばに車両がついたのは10時35分。5分後の10時40分には盛岡駅を出発しました。
盛岡駅を出発後は盛岡市内および岩手県内のバス停には停まらず、高速道路へ直行。仙台に着くまでの途中休憩は1回。場所は中尊寺PAで、休憩時間は5分程度でした。
▼中尊寺パーキングエリア
高速道路を降りた後、仙台市内では仙台フォーラスそばの「広瀬通一番町」および「仙台駅前(仙台高速バスセンター前)」の2箇所に停車。
▼広瀬通一番町のバス停留所
▼仙台駅前(仙台高速バスセンター前)のバス停留所
通常は「仙台駅前(仙台高速バスセンター前」が終点となり、終点より前で降車する場合には、降車ブザーを押して運転手に知らせる必要があります。
またプロ野球団・東北楽天ゴールデンイーグルスのホームゲーム(デーゲーム/ナイトゲーム)開催日は、一部のバスが延長運行に。「仙台駅前」のあとに「宮城球場前」まで乗車することも可能です。
▼楽天生命パーク宮城(旧宮城球場)から徒歩数分の「宮城球場前」
降車する際、事前に乗車券(回数券含む)を購入していた場合は、運転席脇の運賃箱に乗車券を入れればOK。乗車券を買っていない場合は、運賃を現金で運賃箱に投入します。
▼乗車券を持っている場合は運賃箱に入れるだけ
▼現金で支払う場合は車内設置のモニターで運賃を確認
今回、盛岡から仙台までの移動にかかった所要時間は2時間25分ほど。以下は当時の実際のスケジュールです。参考にどうぞ。
- 10時40分:盛岡駅を出発
- 11時50分:中尊寺PAに到着
- 11時55分:中尊寺PAを出発
- 13時00分:広瀬通一番町に停車
- 13時05分:仙台高速バスセンターに到着
利用してみての感想・気づき
席に余裕があれば車内はかなり快適
実際にアーバン号を使ってみて、まず感じた魅力が移動中の快適さ。
今回アーバン号を利用したのは6月末のタイミング。東北でも日中は蒸し暑さを感じる季節でしたが、車内は冷房がしっかり効き、片道約2時間30分の旅路はかなり快適。途中の休憩は1回のみですが、おおよそ1時間おきに1度立ち上がれるため、お尻も痛くはならず。
席も余裕があったことも含め、まわりの人たちもゆっくり寝て過ごしたり、スマホを触ったりと、かなり快適に過ごしている様子でした。
在来線と比べて「速い」「安い」
他の公共交通機関を比べた場合、アーバン号は移動の所要時間が比較的短く、運賃が安いことも魅力です。参考までに、以下は仙台-盛岡間の移動に使える3つの公共交通機関を比べたもの。
交通手段 | 所要時間 | 運賃 |
---|---|---|
高速バス(アーバン号) | 約2時間30分 | 2,980円 |
鉄道(在来線) | 約4時間00分 | 3,350円 |
鉄道(新幹線) | 約0時間40分 | 6,670円 |
所要時間がもっとも短い新幹線とアーバン号の差は1時間50分と大きいものの、新幹線の片道料金で、アーバン号なら仙台-盛岡間を1往復できます。
また在来線との比較においては、アーバン号のほうが「速く」「安く」移動可能です。
“車窓が楽しめる移動手段”ではない
「移動中も快適」「速く安く移動できる」とメリットの多いアーバン号ですが、移動中の“車窓からの眺め”はほとんど楽しむことができません。
移動時間の8割以上は高速道路を走行することになるため、窓から見える景色はほとんどが高速道路を囲む壁やフェンス。たまに外の景色が姿を覗かせることはあるものの、車窓を楽しみたいなら鉄道(新幹線・在来線)を選ぶべきでしょう。
一部のバスは車内に無料Wi-FIあり
はじめに「アーバン号は5つのバス会社が共同で運行している」旨を紹介しましたが、このうちいくつかのバス会社は車内で無料のWi-Fiスポットが利用できます。
たとえば今回復路(盛岡→仙台)で利用した岩手県北バスでは、みちのりホールディングス傘下のグループとして「みちのりフリーWi-Fi」を提供。
暗号化なしのネットワークであるため推奨できる用途は限られるものの、代わりにEメールアドレスなどを登録せず利用できます。通信速度もまずまずであり、移動時間にストリーミングで音楽・動画視聴を楽しみたい人にはうってつけです。
▼車内掲示のネットワーク名に接続するとサインイン画面に
▼高速道路を走行中の実効速度