※2021年11月上旬に配信されたソフトウェアアップデートにより、国内キャリアの5Gネットワークに接続できなくなりました。詳細は記事末の追記をご確認ください。
Samsung「Galaxy Z Flip3 5G(SM-F711B)」について、国内4キャリアのSIMを用いた通信機能の動作確認結果をまとめておきます。
結論として、2021年9月現在、国内4キャリア(NTTドコモ/KDDI/ソフトバンク/楽天モバイル)すべての5Gネットワークに接続できています。
(追記:2021年11月から国内4キャリアすべての5Gネットワークに接続不可になりました)
一部を除き、4G通信でのCA(キャリアアグリゲーション)やVoLTE(ボルテ)、テザリングも利用可能です。
記事の目次
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はじめに:国際版について
国際版(SM-F711B)の特長
Galaxy Z Flip3 5Gのうち、型番が「SM-F711B」のものは、世界の広域に投入されている“国際版(グローバルモデル)”です。
ぼく自身が購入し、この記事での検証に用いたものは、海外通販サイトETOREN(イートレン)で販売されているシンガポール仕向けの製品です。
他地域向けの別モデルと異なる、特筆すべきポイントはeSIMを内蔵していること。nanoSIMサイズの物理SIMカードスロットを1つ備えることに加えてeSIMも内蔵。2つの回線で同時に音声着信の待ち受けが可能な“Dual SIMモデル”です。
国際版(SM-F711B)の対応周波数
Galaxy Z Flip3 5G(型番:SM-F711B)に実装されている通信方式と周波数帯は次のとおり。内容は実機でServiceModeから確認したものです。
世代 | 分類・規格 | 対応する周波数帯 |
---|---|---|
5G | FR1 |
n1 n3 n5 n7 n8 n20 n28 n38 n40 n41 n66 n77 n78 |
FR2 | – | |
4G | FDD-LTE |
Band 1 Band 2 Band 3 Band 4 Band 5 Band 7 Band 8 Band 12 Band 13 Band 17 Band 18 Band 19 Band 20 Band 25 Band 26 Band 28 Band 32 Band 66 |
TD-LTE |
Band 38 Band 39 Band 40 Band 41 |
|
3G | WCDMA |
Band 1 Band 2 Band 4 Band 5 Band 8 |
CDMA2000 | – | |
TD-SCDMA | – | |
2G | GSM |
Band 2 Band 3 Band 5 Band 8 |
上記から読み取るかぎり、日本国内の4キャリア(NTTドコモ/KDDI/ソフトバンク/楽天モバイル)で5Gおよび4G通信が利用可能。このうち2キャリア(NTTドコモ/ソフトバンク)では3G通信も利用できる内容です。
通信の動作確認結果
4キャリアの結果まとめ
4キャリアのSIMを用いて検証した、Galaxy Z Flip3 5G(型番:SM-F711B)の通信関連機能の利用可否をまとめておきます。
ドコモ | au | SB | 楽天 | |
---|---|---|---|---|
5G通信 | ○ | ○ | ○ | ○ |
4G通信 | ○ | ○ | ○ | ○ |
VoLTE | ○ | ○ | × | ○ |
SMS | ○ | ○ | ○ | ○ |
テザリング | ○ | ○ | ○ | ○ |
2021年9月現在、国内4キャリア(NTTドコモ/KDDI/ソフトバンク/楽天モバイル)すべての5Gネットワークに接続できることを確認しました。
各キャリアとも、5G対応プランで契約したSIMカードを挿し込み、設定画面からAPN情報を選択するだけでOKでした。ServiceModeからの特別な操作(設定変更など)も不要です。
各キャリアごとの結果
ここからは、2021年9月時点での各キャリアごとの動作確認の結果です。
NTTドコモ
NTTドコモの回線では「5G通信」「4G通信」「VoLTE」「SMS」「テザリング」いずれも、とくに問題なく利用できています。
グローバル版(※シンガポール仕向け)のGalaxy Z Flip3 5G(型番:SM-F711B)にて、ドコモの5Gが利用できることを確認。APN情報(spmodeドットneドットjp)も初期登録済み。「SIMカードを挿してAPN情報を選ぶ」の手順だけで5Gが利用できました。VoLTEやテザリングも機能します。 pic.twitter.com/1drKLoOzx6
— まきはら とよかず(Toyokazu Makihara) (@mkhr141jp) September 21, 2021
上記は5Gプランで契約中のSIMカード、公式サイトで案内されているAPN情報「spmode.ne.jp」を用いて確認した内容です。
「spmode.ne.jp」のAPN情報は初期登録済みであり、NTTドコモのSIMカードを挿すと自動で表示されます(手入力不要)。
モバイルネットワークの設定画面にはVoLTE機能のスイッチ(オン/オフ切り替え)が出現します。VoLTEが有効な状態では、アンテナピクトの横に「VoLTE」の文字が表示されます。
au(KDDI)
au(KDDI)の回線でも「5G通信」「4G通信」「VoLTE」「SMS」「テザリング」いずれも、とくに問題なく利用できています。
グローバル版(※シンガポール仕向け)のGalaxy Z Flip3 5G(型番:SM-F711B)にて、KDDIの5Gが利用できることを確認。APN情報(LTE NET)も初期登録済み。「SIMカードを挿してAPN情報を選ぶ」の手順だけで5Gが利用できました。VoLTEやテザリングも機能します。 pic.twitter.com/nRhzwN1Zqt
— まきはら とよかず(Toyokazu Makihara) (@mkhr141jp) September 21, 2021
上記は5G対応スマホ(Galaxy Z Fold2 5G SCG05)購入時に付いてきたSIMカード、および「LTE NET(unod.au-net.ne.jp)」のAPNを用いて確認した内容です。なお“5G用のAPN”として案内されている「5G NET(uad5gn.au-net.ne.jp)」でも5G通信が利用できています。
「LTE NET」のAPN情報は初期登録済み(手入力不要)。「5G NET」は初期登録されておらず、手入力が必要です。
モバイルネットワークの設定画面にはVoLTE機能のスイッチ(オン/オフ切り替え)が出現します。なおVoLTEが有効な状態でも、アンテナピクトの横に「VoLTE」マークは表示されません。
ソフトバンク
ソフトバンクの回線では「5G通信」「4G通信」「SMS」「テザリング」が問題なく利用できています。「VoLTE」のみ利用不可です。
グローバル版(※シンガポール仕向け)のGalaxy Z Flip3 5G(型番:SM-F711B)にて、ソフトバンクの5Gが利用できることを確認。APN情報(plus.4g)も初期登録済み。「SIMカードを挿してAPN情報を選ぶ」の手順だけで5Gが利用できました。なおテザリングは機能しますが、VoLTEは使えません。 pic.twitter.com/q6xrm0XtGA
— まきはら とよかず(Toyokazu Makihara) (@mkhr141jp) September 21, 2021
ソフトバンク5Gについては、n28(4G→5Gへ転用された周波数帯)が利用可能なことも確認できました。 pic.twitter.com/3hLXAdETi6
— まきはら とよかず(Toyokazu Makihara) (@mkhr141jp) September 21, 2021
上記は5G対応の“他社製品でも使えるSIMカード”「USIMカード (F)」、および公式サイトで案内されているAPN情報「plus.4g」を用いて確認した内容です。
「plus.4g」のAPN情報は初期登録済みであり、ソフトバンクのSIMカードを挿すと自動で表示されます(手入力不要)。
他3社とは異なり、モバイルネットワークの設定画面にはVoLTE機能のスイッチがありません。VoLTE用のAPN情報を手入力で追加しても、VoLTEは利用できませんでした。
楽天モバイル
楽天モバイルの回線では「5G通信」「4G通信」「VoLTE」「SMS」「テザリング」いずれも、とくに問題なく利用できています。
グローバル版(※シンガポール仕向け)のGalaxy Z Flip3 5G(型番:SM-F711B)にて、楽天モバイルの5Gが利用できることを確認。APN情報(rakutenドットjp)も初期登録済み。「SIMカードを挿してAPN情報を選ぶ」の手順だけで5Gが利用できました。VoLTEやテザリングも機能します。 pic.twitter.com/6odEHiJ2V5
— まきはら とよかず(Toyokazu Makihara) (@mkhr141jp) September 21, 2021
上記は5Gプランで契約しているeSIM、公式サイトで案内されているAPN情報「rakuten.jp」を用いて確認した内容です。
「Rakuten Internet」のAPN情報は初期登録済み。eSIMをインストールすると自動で表示されます(手入力不要)。
モバイルネットワークの設定画面にはVoLTE機能のスイッチ(オン/オフ切り替え)が出現します。なおVoLTEが有効な状態でも、アンテナピクトの横に「VoLTE」マークは表示されません。
まとめ
最後にあらためて、日本国内4キャリアのSIMで確認した、Galaxy Z Flip3 5G(型番:SM-F711B)の通信関連機能の動作確認結果をまとめておきます。
ドコモ | au | SB | 楽天 | |
---|---|---|---|---|
5G通信 | ○ | ○ | ○ | ○ |
4G通信 | ○ | ○ | ○ | ○ |
VoLTE | ○ | ○ | × | ○ |
SMS | ○ | ○ | ○ | ○ |
テザリング | ○ | ○ | ○ | ○ |
日本国内向けのキャリアモデル(NTTドコモ「Galaxy Z Flip3 5G SC-54B」/au「Galaxy Z Flip3 5G SCG12)」には、おサイフケータイ対応および技適マーク付きという魅力があります。
また海外通販サイトなどで購入できる香港・台湾仕向けの製品(型番が「SM-F7110」のもの)にも、グローバル版と同じく、ROM容量が2種類(128GB/256GB)から選べるという特長があります。
これらの違いを理解し、それでも“eSIM搭載(Dual SIMモデル)”への関心が強いのであれば、(リージョンロックに注意しつつ)型番が「SM-F711B」のグローバルモデルの入手を検討してみてもよいかもしれません。
ちなみに“海外モデルならでは”(=国内モデルとできるだけ異なる)の切り口で選ぶのであれば、本体カラーがLavender(ラベンダー)かGreen(グリーン)のROM256GB搭載品(いずれも日本では販売なし)がオススメです。
追記情報
2021年11月13日
2021年11月上旬に配信されたソフトウェアアップデート適用後より、国内キャリア(4キャリア)すべての5Gネットワークに接続できなくなりました。
5G通信以外の通信関連機能は引き続き、とくに問題なく利用できています。
2021年11月時点での通信関連機能の利用可否について、あらためて以下に整理しておきます。
ドコモ | au | SB | 楽天 | |
---|---|---|---|---|
5G通信 | × | × | × | × |
4G通信 | ○ | ○ | ○ | ○ |
VoLTE | ○ | ○ | × | ○ |
SMS | ○ | ○ | ○ | ○ |
テザリング | ○ | ○ | ○ | ○ |
日本国内での5G通信利用も前提にGalaxy Z Flip3 5Gを入手する場合には、他型番の製品(国内キャリア版/韓国版/香港版など)を検討することをオススメします。