IIJmio meeting 6

1月24日(土)に東京のIIJmio本社で行なわれた IIJmio meeting 6 に参加してきました。イベント内で行なわれたトークセッションには総務省の担当者からMVNO政策に関するお話もありましたので、今回は ”加速するMVNO政策” と題されたそのトークセッションの内容をまとめておきます。

なおこのトークセッションの前に行なわれた初心者向けセッションの内容もまとめています。

 (関連記事)IIJmio meeting 6 参加レポート①。初めてのSIMフリースマホ選びのコツなどをIIJmioの中の人が教えてくれる良イベントでした

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加速するMVNO政策

トークセッションの話し手は総務省の富岡氏。

IIJmio meeting 6

ベスト姿がカッコ良く、紳士な雰囲気漂う素敵なおじ様でした。

IIJmio meeting 6

まずは総務省がMVNO政策を推進する理由から。

IIJmio meeting 6

総務省がMVNO政策を推進する理由は主に次の3つ。

  • モバイルサービスが生活や経済、社会活動に不可欠な基板となりつつある
  • 日本のモバイル市場はMNO3社による協調的寡占の色味が強く、また公平性に欠ける部分も多い
  • 電波は有限のため、MNOを増やすことでの市場の寡占解消は難しい

もはや携帯電話は1人に1台が当たり前になっている日本。しかしその性質上MNO3社による支配力が強くなってしまい、ユーザーにやさしくないサービス内容に変更されてもユーザーには実質選択肢が無い状態になることもあってそれは問題。でもだからといってMNOを増やすのは何かと手間やらリスクやらがあるので、MVNOを応援してテコ入れしていこう、ということです(超ざっくり)。

現在総務省が推進しているMVNO政策は大きく分けて3つ。

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SIMロック解除の推進については2015年5月以降に発売される端末に対しての義務化が既に決まっていますね。その他にもMVNOがMNOからネットワークをより円滑に借りられるようなしくみの整備、さらには訪日外国人がローミングではなくMVNOのSIMを利用するための法整備といったところも推進しているとのこと。

MVNOの契約数の推移。

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MVNOの契約数は急成長しているが、大きく影響していることの1つとして挙げられるのがBWA(Broadband Wireless Access)のMVNO契約数増。TDD-LTE(auのWiMAX2+やSoftbankのAXGP)に対応している端末を契約した場合はBWAのMVNOとしてもカウントしているようで、iPhone6(TDD-LTEに対応)の発売によってこの数値が激増したのでは?という話でした。つまりauやsoftbankでiPhone6を契約するとMNOの契約数とMVNOの契約数がそれぞれプラス1されるってこと?

ただ契約数増の理由については全部が全部BWAのMVNO契約数増によるわけではなく、純粋なMVNOも成長はしているとのこと。

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MVNOの認知度と利用状況に関するアンケート結果。

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”利用している”と回答した方が全体の8%。そして”利用もしていないし知らない”と回答した方が全体の半数を占めています。これから増々MVNOが盛り上がっていきそうなことを予見出来るアンケート結果です。

MVNOの利用意向に関するアンケート結果。

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ここで気になったのは”音声のみ利用したい”と回答した方が13%もいたこと。現状だと音声だけMVNOにすることのメリットってほぼ無い(データ通信だけMVNOにするのであればメリットは多くありますが)ので、そのように回答した意図が気になります。

SIMロック解除の推進について

SIMロック解除可能な端末の種類と全体に占める割合について。

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2010年6月にSIMロック解除ガイドラインが策定された直後はSIMロック解除可能な端末の種類、全体に占める割合とも大幅に増加しました。しかし最近は発売される端末の全体数、SIMロック解除可能な端末の種類、全体に占める割合の全てにおいて減少傾向にあります。

SIMロック解除ガイドラインの改正について。

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SIMロック解除の手続きは、可能な場合はインターネット経由や電話による手続きで行なえるようにするなど、迅速かつ容易な方法によって”無料で”行なうことを原則とするそうです。またMNO各社にはSIMロック解除の対象となる端末や手続きを定めたガイドラインを予め定めて公表してもらうとのこと。

SIMロック解除の認知度・利用状況に関するアンケート結果。

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”解除したことがある”が全体のわずか3%となっています。この3%はほぼほぼ全てNTTドコモと言ってもよいでしょうね。

上記3%の方々がSIMロック解除を行なった理由。

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”現在利用している端末を国内他社のSIMで利用するため”という王道(?)の理由が42.5%と最も高い割合になっています。

MVNOへのネットワーク開放の更なる促進について

MVNOへのネットワーク開放に関する現行ルール。

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MVNOがMNOに(”接続”の形で)ネットワークを貸して欲しい旨請求があった場合、MNOは請求に応じる義務がある(=貸さないといけない)というのは初めて知りました。また契約内容に公平性が保たれるように(A社には安く貸すけど、B社は割高で、とならないように)接続料や接続条件に関してはと事前に総務大臣にへの届け出が義務化されているそうです。

接続に関する料金の推移。

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MNO3社で全然料金が違うんですね。MVNOを積極的に展開しているNTTドコモが最も安く、最近少しずつMVNOに進出し始めているauが次点(それでもNTTドコモの倍ですが)。これを見る限り、SoftbankはMVNOに進出する気が無いのかもしれませんね。

MVNOへのネットワーク開放促進に向けた今後の取り組み内容。

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ここでのキーワードが”アンバンドル”。現行ではどのMVNOもMNOの設備を借りて運用しているだけで、SIMカードの発行や管理はMNOが行なっています。こういったサービスを細分化して、細かい単位で個別に対応できるようにすることを”アンバンドル”というとのこと。

アンバンドルが進めば実現できることについて。

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複数のMNOネットワークに対応したSIMの発行・管理なんてとても魅力的ですね。例えば1枚のSIMカードでNTTドコモの回線、auの回線が切り替えて使えるようになれば、災害時でも冗長性の高いサービス提供が可能になります。さらにはMVNO独自の音声サービスが実現されれば、MVNOの音声回線でも家族割や電話かけ放題といったことも可能になるかも。

但しアンバンドルに関してはMNO各社ともかなり慎重なようなので、今後どのように進めていくかは大きな課題になっているようです。

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訪日外国人の国内発行SIMへの差替え円滑化について

訪日外国人の国内SIM利用に関する現状の課題。

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日本では諸外国と比べてSIMの販売が限定的、また海外から持ち込まれる日本の技術基準適合証明(技適)を受けていない端末を日本国内で利用することについての整理が出来ていない、という2点が大きなところです。

課題に対応するための取り組み。

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訪日外国人が国内発行SIMを購入したあとのAPNなどの設定をより迅速かつ容易に行なえる環境を整備していくとともに、SIM販売時の本人確認等でどこまでの情報を必要とし、何を持って確認するのか、といった点を議論して進めていくとのこと。また技術基準適合証明については総務省において検討していくようです。

以上の取り組みを行なうことで、2016年にはMVNO契約数を約1,500万(2014年9月末時点の約2倍)にしていきたいとのことでした。

IIJmio meeting 6

最後に

MVNOの契約数の推移内訳、MNO3社が設定しているデータ接続料の違いなど、普段あまり聴くことのない内容を深ーく聴くことの出来た満足度の高いトークセッションでした。総務省が日本のモバイル市場に対して現在見出している3つの課題は1ユーザーである私としても興味深く、ぜひ解決に取り組んでもらいたいものです。

最近はMVNOへの興味を持つ人が私の身の回りでも増えているなぁと実感する機会が結構ありますが、果たして2016年にMVNO契約数1,500万という数値にまで届くのか。この数値を少し意識しながら今後の推移を見守りたいと思います。

次回は「IIJmioの通信品質について」と題したIIJmioの中の人によるトークセッションの内容をまとめます。お楽しみに。