Galaxy S21 Ultra 5G(型番:SM-G998B/DS)と国内4キャリアのSIMを用いた、通信面での動作確認の結果をまとめておきます。
はじめに触れておくと、2021年2月現在、国内キャリアの5Gネットワークには接続できていません。
なお4Gネットワークは4キャリアで接続できています。一部を除き、CA(キャリアアグリゲーション)やVoLTE(ボルテ)、テザリングも利用可能です。
記事の目次
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はじめに
国際版の対応バンド
Galaxy S21 Ultra 5Gのうち、型番が「SM-G998B/DS」のものは、世界の広域に投入されている“国際版(グローバルモデル)”となっています。
この記事で検証に用いた端末は海外通販サイトETOREN(イートレン)で購入したシンガポール仕向けの製品です。
他地域に投入されている別モデルと比べた場合に特筆すべき、主なポイントは以下3点。
- チップセットがSamsung製のExynos 2100(エクシノス2100)
- nanoSIMサイズの物理SIMカードスロットを2つ搭載
- eSIM内蔵。物理SIM×2または物理SIM+eSIMのDual SIM仕様
実装されている通信方式と周波数帯は次のとおりです。この内容は実機にて、ServiceModeから確認しています。
世代 | 分類・規格 | 対応する周波数帯 |
---|---|---|
5G | FR1 |
n1 n3 n5 n7 n8 n20 n28 n38 n40 n41 n66 n77 n78 |
FR2 | – | |
4G | FDD-LTE |
Band 1 Band 2 Band 3 Band 4 Band 5 Band 7 Band 8 Band 12 Band 13 Band 17 Band 18 Band 19 Band 20 Band 25 Band 26 Band 28 Band 32 Band 66 |
TD-LTE |
Band 38 Band 39 Band 40 Band 41 |
|
3G | WCDMA |
Band 1 Band 2 Band 4 Band 5 Band 8 |
CDMA2000 | – | |
TD-SCDMA |
Band 34 Band 39 |
|
2G | GSM |
Band 2 Band 3 Band 5 Band 8 |
上記から読み取るかぎりでは、日本国内の4キャリア(NTTドコモ/KDDI/ソフトバンク/楽天モバイル)で5Gおよび4G通信が利用可能。さらに、このうち2キャリア(NTTドコモ/ソフトバンク)では3G通信も利用できる内容です。
通信の動作確認結果
4キャリアの結果まとめ
4キャリアのSIMを用いて検証した、Galaxy S21 Ultra 5G(型番:SM-G998B/DS)の通信関連機能の利用可否をまとめておきます。
ドコモ | au | SB | 楽天 | |
---|---|---|---|---|
5G通信 | × | × | × | 不明 |
4G通信 | ○ | ○ | ○ | ○ |
VoLTE | ○ | ○ | × | ○ |
SMS | ○ | ○ | ○ | ○ |
テザリング | ○ | ○ | ○ | ○ |
まず2021年2月現在、4キャリアすべての回線で5Gネットワークに接続することはできていません(楽天モバイル回線は未確認)。
そもそも設定画面でネットワークモードを「5G/LTE/3G/2G」にしていても、初期状態ではこれと別に5Gの周波数帯が無効化されています。5Gネットワークに接続するためにはこの設定の変更(5Gの周波数帯の有効化)が必要です。
なお、この記事で紹介する動作確認の結果は、ServiceModeから上記の設定変更を施した上での内容です。つまり設定変更後もまだ、国内キャリアの5Gネットワークには接続できない(接続を確認できていない)という状況になっています。
ただし一時的に5Gのアンテナピクトが表示された場面には遭遇しました。5Gネットワークへの接続可否については(ソフトウェアアップデートを受信・適用した後など)今後も定期的に検証していく予定です。
Exynos 2100版のGalaxy S21 Ultra 5G(SM-G998B/DS)で初めて5Gのアンテナピクトが見れた記念。 pic.twitter.com/RJxhaJBKHs
— まきはら とよかず(Toyokazu Makihara) (@mkhr141jp) January 30, 2021
各キャリアごとの結果
ここからは、2021年2月時点での各キャリアごとの動作確認の結果です。
NTTドコモ
NTTドコモの回線では、5Gネットワークに接続できないことを除けば、おおむね問題なく利用できています。
- 5Gネットワークには接続不可
- 4Gネットワークには接続可能
- CA(キャリアアグリゲーション)利用可
- VoLTE(ボルテ)利用可
- テザリング利用可
- SMS(ショートメッセージサービス)利用可能
上記は5Gプランで契約中のSIMカード、公式サイトで案内されているAPN情報を用いて確認した内容です。
同じ組み合わせ(SIMカードとAPN情報)のiPhone 12 miniでは5G接続が可能な環境でも、Galaxy S21 Ultra 5Gだと5G接続に切り替わりません。
Exynos 2100版のGalaxy S21 Ultra 5G(型番:SM-G998B/DS)に5G契約のドコモのSIMを挿してみたけど、5Gは掴まず。写真は同じ場所で撮影したもので、1枚目がGalaxy S21 Ultra 5G。2枚目はiPhone 12 mini。 pic.twitter.com/WUJlxVtDUe
— まきはら とよかず(Toyokazu Makihara) (@mkhr141jp) January 28, 2021
SIMカードを装着すると、APN一覧には「spモード」を含むAPN情報が自動で表示されます。
モバイルネットワークの設定画面にはVoLTE機能のスイッチ(オン/オフ切り替え)も出現します。
VoLTEを有効化すると、アンテナピクト横に「VoLTE」の文字が表示されます。音声通話の発着信をしてみても、4Gネットワークへの接続が維持されており、VoLTEが有効化されていることがわかります。
au
au(KDDI)の回線でも、5Gネットワークに接続できないことを除けば、おおむね問題なく利用できています。
- 5Gネットワークには接続不可
- 4Gネットワークには接続可能
- CA(キャリアアグリゲーション)利用可
- VoLTE(ボルテ)利用可
- テザリング利用可
- SMS(ショートメッセージサービス)利用可能
上記は5G対応スマホとセットで契約したSIMカード、公式サイトで案内されている“5G用のAPN情報”を用いて確認した内容です。
同じ組み合わせ(SIMカードとAPN情報)のGalaxy Z Fold2 5G SCG05では5G接続が可能な環境でも、Galaxy S21 Ultra 5Gだと5G接続に切り替わりません。
Exynos 2100版のGalaxy S21 Ultra 5G(型番:SM-G998B/DS)に5G契約のauのSIMを挿してみたけど、こちらも5Gは掴まず。写真は同じ場所で撮影したもので、1枚目がGalaxy S21 Ultra 5G。2枚目はGalaxy Z Fold2 5G SCG05。 pic.twitter.com/4P7pP4ZDq3
— まきはら とよかず(Toyokazu Makihara) (@mkhr141jp) January 28, 2021
SIMカードを装着すると、APN一覧には“4G用のAPN情報”を含む複数項目が出現。ただし“5G用のAPN情報”はなく、手動での追加が必要です。
モバイルネットワークの設定画面にはVoLTE機能のスイッチ(オン/オフ切り替え)が現れます。このスイッチをオフにする、あるいはAPN一覧で「lte_ims」を削除すると音声通話が使えなくなります。
VoLTEが有効な状態でも、アンテナピクト横にマークなどは現れません。ただし音声通話の発着信中も4Gネットワークへの接続が維持できており、VoLTEは利用できることがわかります。
ソフトバンク
ソフトバンクの回線では、5Gネットワークに接続不可。またVoLTEが利用できません。このほかはおおむね問題なく動作しています。
- 5Gネットワークには接続不可
- 4Gネットワークには接続可能
- CA(キャリアアグリゲーション)利用可
- VoLTE(ボルテ)利用不可
- テザリング利用可
- SMS(ショートメッセージサービス)利用可能
上記は5G対応の“他社製品でも使えるSIMカード”、公式サイトで案内されているAPN情報を用いて確認した内容です。
同じ組み合わせ(SIMカードとAPN情報)のPixel 5では5G接続が可能な環境でも、Galaxy S21 Ultra 5Gでは5G接続に切り替わりません。
Exynos 2100版のGalaxy S21 Ultra 5G(型番:SM-G998B/DS)に5G契約のソフトバンクのSIMを挿してみたけど、こちらでも5Gは掴まず。写真は同じ場所で撮影したもので、1枚目がGalaxy S21 Ultra 5G。2枚目はPixel 5。 pic.twitter.com/XE4S5asNRn
— まきはら とよかず(Toyokazu Makihara) (@mkhr141jp) January 29, 2021
SIMカードを装着すると、APN一覧には「plus.4g」を含むAPN情報が自動で表示されます。
モバイルネットワークの設定画面にはVoLTE機能のスイッチがありません。またVoLTE用のAPN情報を手動で追加登録してみても、VoLTEは利用できません。
音声通話の発着信をおこなうと、発信と着信のいずれにおいても3Gネットワークへの接続に切り替わります。
楽天モバイル
楽天モバイルの回線では、5Gネットワークへの接続可否、CAの可否が不明(未確認)です。そのほか、4Gネットワーク内ではおおむね問題なく使えています。
- 5Gネットワークの接続可否は不明(未確認)
- 4Gネットワークには接続可能
- CA(キャリアアグリゲーション)利用可否は不明(未確認)
- VoLTE(ボルテ)利用可
- テザリング利用可
- SMS(ショートメッセージサービス)利用可能
- eSIMの登録可
上記は5Gプランで契約しているeSIM、公式サイトで案内されているAPN情報を用いて確認した内容です。
身の回りに楽天モバイルの5Gエリアがまだないため、今回5Gネットワークへの接続可否は検証できていません。
eSIMを登録すると、APN一覧に「Rakuten Internet」を含むAPN情報が自動で表示されます。APN情報「Rakuten Internet」を開き、APNタイプに「dun」を追加することでテザリングが利用可能になります。
モバイルネットワークの設定画面にはVoLTE機能のスイッチ(オン/オフ切り替え)が現れます。このスイッチをオフにする、あるいはAPN一覧で「Rakuten IMS」を削除すると音声通話が使えなくなります。
VoLTEが有効な状態でも、アンテナピクト横にマークなどは現れません。ただし音声通話の発着信中も4Gネットワークへの接続が維持できており、VoLTEは利用できることがわかります。
eSIMは設定画面内「SIMカードマネージャー」の画面から「料金プランを追加」を選び、楽天モバイルから提供されたQRコードを読み取るだけで手間なく登録できました。
まとめ
最後にあらためて、日本国内4キャリアのSIMを用いたGalaxy S21 Ultra 5G(型番:SM-G998B/DS)の通信面の動作確認結果をまとめておきます。
ドコモ | au | SB | 楽天 | |
---|---|---|---|---|
5G通信 | × | × | × | 不明 |
4G通信 | ○ | ○ | ○ | ○ |
VoLTE | ○ | ○ | × | ○ |
SMS | ○ | ○ | ○ | ○ |
テザリング | ○ | ○ | ○ | ○ |
今後のソフトウェアアップデートなどで問題が解消される可能性はあるものの、少なくとも2021年2月現在、Galaxy S21 Ultra 5G(型番:SM-G998B/DS)では日本国内キャリアの5Gネットワークは利用できていません。
5G通信が必須の場合には、インターネット上ですでに「5Gネットワークに接続できた」との報告が散見される香港版(型番が「SM-G9980」のもの)を選ぶ、あるいは日本での国内正規品の発売を待つ、といった選択がオススメです。
一方で、Exynos 2100を搭載すること、eSIMを内蔵することなどにこだわりがある場合には、今回まとめた情報をよく把握の上で、入手を検討してみてください。