7月31日にTOSHIBAより発売された TransferJet対応のSDカード。「簡単・安心・高速」を特徴としてうたうこの機器の快適さが果たしていかほどのものなのかとても気になったので、発売日に早速購入し、RICOH GRとMacBook Airを用いて確認してみました。
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記事の目次
TransferJetとは
TransferJet(トランスファージェット)は誰でも簡単に、安心して、快適(高速)に使えることを目指して開発された近接無線転送技術です。利用するためには転送元・転送先の両方がTransferJetに対応している必要があり、現時点においては外付けのアダプタなどを各機器に装着して利用することが比較的一般的ですが、最近だとNTTドコモが発売したスマートフォン ARROWS NX F-04G がこの機能を内蔵していることでも話題になっていました。
転送自体は受け取り側で専用ソフトを起動しさえすれば、あとは転送元と転送先のTransferJet対応機器を3cm程度の近距離に置くだけ。通信距離がとても短いため、転送中のデータを傍受される危険性も少なく、かつ実行速度が最速で375Mbpsにもなる高速転送を行えることが大きな魅力となっています。
ちなみに今回準備したのはTransferJet対応のSDカード(デジカメに挿すもの)とUSBアダプタ。2つ合わせて10,000円弱ほどでした。
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説明書を読んだ限り、実際にデータを転送するときにはアダプタとSDカードの差込口はこのように向けて3cm以内に、と書いてありましたが・・・
距離だけきちんと意識しておけば、カメラは立てたままでも問題なく使用することができました。伏せるとなるとモニターへのスレキズが心配になるだけに、これはよいです。
ただUSBアダプタに関していうと、USBコネクタ部分の外枠はプラスチックとなっており、一般的なUSBコネクタと比べると安っぽさが感じられます。また実際に挿してみると若干斜めに傾いていたり。接触不良などはなさそうですが、やや見栄えは悪いかな、と。
なお下の写真はMacBook Air(11インチ)に装着した様子。USBアダプタに関してはそこまで大きいわけではないので、持ち運び方によっては差しっぱなしでもいけるかもしれません(あまりオススメはできませんが)。
転送速度を早速確認
TransferJetの転送速度がどの程度のものなのかを確認すべく、今回は 1枚あたり約3MBの容量の写真データ100枚をデジカメ付属のUSBケーブル(USB2.0規格)、TransferJet対応SDカード、Eye-Fi mobi SDカードの3つの方法でMacBook Airへ転送し、要した時間を測定してみました。
それぞれ2回ずつ測定した結果がこちら。
機器名 | 1回目 | 2回目 | 平均 | 1秒あたりの 転送枚数 |
---|---|---|---|---|
USBケーブル (USB2.0規格) |
0分39秒 | 0分46秒 | 0分42秒 | 2.35枚 |
SDカード (TransferJet) |
1分02秒 | 1分15秒 | 1分08秒 | 1.45枚 |
SDカード (Eye-Fi mobi) |
8分42秒 | 9分48秒 | 9分15秒 | 0.18枚 |
さすがに有線接続には敵わなかったものの、無線転送として速度がかなり高速であることは一目瞭然。Wi-Fi接続を利用して転送するEye-Fi mobi SDカードの9分の1という所要時間、そして3MBという大きめの写真データでも1秒あたり1.4枚を転送できてしまうという、まさに“高速”の2文字に偽りのない結果を示してくました。
TransferJetを使うメリット・デメリット
転送速度のすばらしさはばっちり確認できたTransferJetですが、ここではTransferJetを使うメリットとデメリットを改めて整理しておきます。
メリット
転送速度が速い
ひとつ目のメリットは先ほど紹介した転送速度の速さ。USBケーブルを用いての有線接続と比較すると速度は劣るものの、USBケーブル2.0規格のものであればそこまで圧倒的な差はなく、一方で同じく無線転送のEye-Fiより数倍速い転送が可能です。
他の無線接続と同時に使える
データの転送にTransferJetを使うため、転送中でもパソコンやスマホなどの機器はWi-Fiを用いてインターネットに接続したままにしておくことが可能です。Eye-Fiの場合はデータ転送にWi-Fi接続を使ってしまうため、Eye-Fi⇔パソコン間でデータを転送している場合、パソコンは一度インターネットから切断する必要があります。このあたりは特にブログを書きながら写真を取り込む、といった用途にはかなり合う仕様になっているといえるでしょう。
セキュリティ面でも安心して使える
転送時は機器間の距離を数cm以内にしなければならないという仕様ですが、この(近距離でないと通信ができないという)仕様によって、転送しているデータに不正アクセスされる危険性が一気に低くなります。
転送データの重複を防げる
TransferJet搭載のSDカードからデータを転送する場合、転送されるデータは転送先にまだないものだけが自動で選択(差分転送)されます。そのため、既に転送済みのデータが残っている状態で一括転送を行っても、無駄な重複転送を防ぐことができます。
デメリット
Mac OSには対応していない
この点は結構残念に思う方も多いかと思いますが、2015年8月2日時点においては、TransferJet対応USBアダプタをMac OSで使用するためのユーティリティーソフトが用意されていません。つまりMac OSでは使えない、ということです。現在対応しているOSはWindows、Android、iOSの3種類となっています。私自身はMacBook AirにWindowsをBootcampでインストールしているため、OSを切り替えて使用していました。
OSの切り替え(Mac OS⇔Windows)に要する所要時間を含めても Eye-Fi で転送するよりは格段に速いのですが、切り替え時に開いているソフトをすべて閉じるなど、面倒な手間が発生するのも事実。併せてWindows用に設計されたインストーラーやソフトをMac上で利用するためのプログラムも調べながら試してみましたが、うまく動作するものは見つけることができませんでした。
なおこの点に関しては、WindowsをVirtual Boxなどの仮想環境構築ソフトを用いてインストールしていれば、そこまで気にならないことかもしれません。
外付けの機器を別途用意する必要がある
現在TransferJetを内蔵しているパソコンやスマートフォンなどはごく一部に限られるため、使用する場合は基本的に今回用いたUSBアダプタなどを別途用意しておく必要があります。対応機器のサイズがそこまで大きくないとはいえ、差しっぱなしにしておくにはやや微妙なものだけに、このあたりの好みは人によって大きくわかれそうです。
最後に
実際に使ってみた感想として、「ふぁーーー!?」ってなってしまいました(笑)無線であの速度でデータのやりとりができるのはやはり、かなり魅力的です。
特に今持ち歩いているデジカメのRICOH GRはUSBコネクタのタイプがMini USBになっており、転送速度をEye-Fiよりも早くしようとすれば、ガジェットの充電用に携帯しているMicroUSBケーブルとは別にもう1本携帯する必要あります。そういった意味でも、ケーブルではなく小さなUSBアダプタだけ転送速度がかなり高速化できるのはとても嬉しい限り。
普段使いのOSがMac OSなので使用時に都度OSの切り替えは必要になりますが、今後は(Mac OS用のソフトウェア登場を待ちつつ)このTransferJet対応SDカードを使用していくことにします。
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