Microsoft Surface Duo

米国向け通販サイトAmazon.comのマーケットプレイスを通じ、Microsoftの2画面スマートフォン「Surface Duo」を特価で入手。

その後、実際に2ヶ月ほど使ってみました。

この記事ではMicrosoft Surface Duoを2ヶ月使ってみての感想をレビューします。結論をはじめに書くと「1台目としてはキビしい。2台目ならアリかも」という製品です。

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「Surface Duo」のよいところ・ダメなところ

Microsoft Surface Duo(マイクロソフト サーフェイスデュオ)を2ヶ月使ってみた総評は「“1台目のスマホ”としてはキビしい。“2台目のスマホ”としてならアリかも」。言い方を変えると「1台持ちするスマホとしてはキビしい。(タブレットのように)2台目以降の端末としてはアリかも」という具合です。

“1台目のスマホ”としては厳しい

さきに「“1台目のスマホ”としてはキビしい」理由から。

Surface Duoが“1台目のスマホ”としてキビしい理由

  • 本体の耐久性に不安がある
  • ソフトウェアの動作がモタつく
  • カメラが素早く起動できない

本体の耐久性に不安がある

触っていてまず不安を覚えたのが本体の耐久性。“携帯電話”として使う前提だと、取り扱いに慎重にならざるを得ませんでした。

軽く薄く設計されたデザインが素晴らしい……のですが、その実現のため(?)か、フレーム材質には樹脂(プラスチック)が使われています。

素材自体が決して頑丈とはいえず、そこに“薄型デザインの弱さ”も相まって、日常で加わる小さな圧力の蓄積でも壊れてしまうのでは?という不安を抱きました。

▼側面部は樹脂製。とくに外部入出力端子まわりの耐久性は心配

Microsoft Surface Duo

薄さゆえ、サイズ的にはパンツ(ズボン)の後ろポケットにもすっぽり収まります。ただしポケットに入れた状態で座ったり、歩き回ったり……と圧力をかける行為は正直怖くてできませんでした。

壊さず使うのであれば、衣類だとシャツや上着(ジャケット・コート)のポケットに入れる。それ以外はバッグに入れて持ち歩くことを前提にしたいデバイスです。

ソフトウェアの動作がモタつく

ソフトウェアの動作(反応)が悪く、“1台目のスマホ”としてシーンを問わず使ってみるとストレスを感じる場面が多くありました。

電子書籍を“紙の本”のように見開き表示できたり、2つのアプリを左右の画面で同時に起動できたり。2画面デバイスならではのメリットは(後述のとおり)素晴らしいです。

しかしナビゲーションキー機能のジェスチャー操作(とくに「戻る」の操作)、通知領域の展開など、基本的な操作でモタつきます。感度の調整機能が用意されているものの、設定を変更してみても問題の解決には至りませんでした。日常でもっともおこなう頻度の高い操作でのストレスは見逃せません。

Android 11へのOSバージョンアップなど、今後のソフトウェアアップデートによって改善できるのか。もし改善できる可能性があるならば、そのときには評価が大きく変わることでしょう。

ソフトウェアの出来という点では、ホームアプリのカスタマイズ性の低さも気になりました。具体的に困ったことの1つがアプリドロワー画面(アプリ一覧画面)でフォルダを使った整理ができないこと。

▼アプリドロワー画面。フォルダを使った整理ができない

Microsoft Surface Duo

通常ならサードパーティー製のホームアプリをインストールすれば即解決……なのですが、Surface Duoの場合は純正ホームアプリ以外は正しく動いてくれませんでした。

▼「Nova Launcher」を設定した様子。表示がおかしい(純正ホームアプリを背景に残したまま上書き表示されている)

Microsoft Surface Duo

カメラが素早く起動できない

スマホのカメラとしての最大のメリットは、携帯しやすく、素早く起動できることだと考えています(その上でキレイに撮れれば文句なし)。しかしSurface Duoでは撮影体制に素早く移れません。

インカメラがアウトカメラの機能も兼ねており、持ち歩く際(=画面を内側にして畳んだ状態)にはこのカメラも内側にしまわれています。いざ撮りたいものを見つけても「開いて逆側に折りたたむ」ひと手間が必要であり、シャッターチャンスを逃しかねません。

▼カメラは右の画面の上に配置された1つのみ

Microsoft Surface Duo

また、画面を外側にして畳み持ち歩く場合。端末のロック解除に使う指紋センサーは本体の右側(側面部)にあり、他社製品同様に片手(右手)で扱うと、カメラが自然と内向きになります。つまり、この場合にも「持ち手を変える」ひと手間が発生します。

▼生体認証込みで片手操作するとカメラは自然と内向き(=インカメラ)になる

Microsoft Surface Duo

以上の3点がとても気になり、結果「Surface Duoは“1台目のスマホ”としてはキビしい」という評価になりました。

“2台目のスマホ”としてならアリかも

一方で、Surface Duoならではのメリットも多く感じました。

先に触れた3つのデメリットから“1台目のスマホ”として使うには厳しいですが、これから紹介するメリットとのバランスを見れば、“2台目のスマホ”としてならアリかも、とも感じています。

Surface Duoが“2台目のスマホ”としてならアリかも、な理由

  • シンプルなデザインで携帯性に優れている
  • 画面サイズと縦横比率のバランスがよい
  • 独立した2画面がマルチタスクに向いている
  • 高い精度で手がき操作できる

シンプルなデザインで携帯性に優れている

本体の耐久性に目をつむれば、デザイン設計には魅力を感じます。

折りたたんだ状態でも、展開した状態でも、無駄なくシンプルな見た目。2つのヒンジは開閉を繰り返してもズレることがありません。持ち歩く方法さえ上手に選べば「薄さ」「軽さ」による携帯性は抜群です。

▼他のフォルダブル端末と比べて薄い(写真左はGalaxy Z Fold2 5G。同右はSurface Duo)

Microsoft Surface Duo

▼上下に2箇所あるヒンジ。ヒンジの動作にはなんらストレスを感じない

Microsoft Surface Duo

▼マチなしのポケットにも収まる薄さは○(まる)

Microsoft Surface Duo

画面サイズと縦横比率のバランスがよい

2画面使いだけでなく、折りたたんだ状態で1画面デバイスとして使う際の画面サイズとアスペクト比のバランスにも魅力を感じます。

縦横比が4:3で、5.6インチ(1800×1350ドット)の画面はまさに“片手持ちに適したタブレット”。電子書籍ビューワーとして使ってみると、雑誌の1ページをまるごと表示できる縦横比でありつつ、片手で扱いやすい軽さ。寝転がっての本読みに便利です。

2画面を使った見開き読みでも、雑誌やマンガが自然な見た目で楽しめます。

▼楽天ブックスで電子書籍(雑誌)を表示。字は細かいが、きちんと読める

Microsoft Surface Duo

▼Kindleで電子書籍(マンガ)を表示。見開きページを除き、こちらも“本”として自然に読める

Microsoft Surface Duo

▼Kindleで電子書籍(実用書)を表示。中央でベゼルと文字がカブってしまっている

Microsoft Surface Duo

バッテリー容量は2分の1になっても構わないので半分(1画面)に分割したデバイスがほしい。そんな欲が新たに生まれるぐらいには、画面サイズと縦横比率のバランスのよさが気に入っています。

独立した2画面がマルチタスクに向いている

フォルダブル設計ながら、左右の画面を独立した2画面として使えることはマルチタスク操作にも向いています。

4:3の画面を2分割、ではなく。4:3の画面が2つ並んでいる。これによりそれぞれの画面に窮屈さを感じる無く使えます。

片側の画面で本を見つつ、もう一方の画面でメモを取る(テキストでも手書きでもOK)といった使い方がお気に入りです。Kindleは文章をハイライトして保存(メモ)できますが、書かれていないこと(例:読んでいて思ったこと・感じたことなど)は自分でメモするしかありません。

▼端末を2台並べている“ような感覚”で使える

Microsoft Surface Duo

ちなみにSoCはSnapdragon 855モバイルプラットフォーム(=2019年のハイエンドモデル)ですが、上記のようなレベル(負荷)程度のマルチタスク操作なら、処理性能的なストレスは感じません。

高い精度で手がき操作できる

“Surfaceシリーズならでは”の手がき(手書き・手描き)操作対応も魅力として外せません。

手がき操作には日本国内でも販売されているSurfaceペン(Surface Pen/Surface Pen Slim)が使えます。SamsungのSペン、AppleのApple Pencilに比べれば精度は落ちるものの、メモ用途などには十分な性能です。

▼電池交換式の「Surfaceペン」、充電式の「Surfaceスリムペン」の両方が使える

Microsoft Surface Duo

パソコンもSurfaceシリーズを使っているユーザーであれば、外出シーンにあわせて「普段はバックパックやトートバッグでSurface(PC)を持ち歩く」「小荷物での外出時はサコッシュにSurface Duo(+Surfaceペン)だけ入れておく」といった使い分けも可能です。

▼Surface Pro Xとのサイズ比較。フットプリント(縦横サイズ)はSurface Pro Xの約4分の1

Microsoft Surface Duo

さいごに

Microsoft Surface Duo

あらためて、Surface Duoを2ヶ月使った総評は「“1台目のスマホ”としてはキビしい。“2台目のスマホ”としてならアリかも」となりました。

2021年8月現在、すでに次期モデル(Surface Duo 2?)登場の噂も耳にします。そのため、Surface Duoはあえて「今買うべき」とオススメする製品ではありません。

ただしAmazonの米国向けサイト「Amazon.com」などでは新品が特価で購入できる機会もでてきており、予算が許すなら(そして要件・用途に合うなら)価格次第で個人輸入を検討してみるのはアリかも、とは思います。