SIMフリーモバイルルーター「AirCard AC785」についてNETGEAR新製品発表会で詳しく聞いてきた

2015年8月9日（日）に東京・秋葉原の秋葉原UDXで開催されたNETGEARの新製品「ネットワークカメラArlo（アーロ）」および「モバイルホットスポット AirCard AC785」の発表会に参加してきました。特に後者に関しては、2015年6月に国内向けのSIMフリーモバイルルーターとして発表され、話題になっていた記憶があります。今回はこのイベントで聴いた AirCard AC785の機能について、紹介していきます。

NETGEAR について

私自身、このAirCard AC785が出てくるまでNETGEARという企業自体をよく知らなかったので、まずはじめにNETGEARについて簡単に整理しておきます。

NETGEAR（ネットギア）は米国に本社を置く企業で、スイッチや無線LAN、NASといったネットワーク機器を中心に取り扱っているメーカーです。現在は世界25カ国に支社を持ち、日本にはネットギアジャパン合同会社（英語名：Netgear Japan G.K.）として1999年から活動を開始しています。ちなみに発音は「ネット（↑）ギア（↓）」。

今回紹介するAirCardを初めとしたモバイルルーターに関しては、米国とカナダに拠点をもつSierra WirelessのAirCard部門（ルーターとUSB機器を取り扱う部門）を買収して取扱いを始めたため、事業開始当初から既に技術的なノウハウは有していたとのこと。

海外ではSprintやAT&T（ともに米国）といった電話会社、Telstra（オーストラリア）といった通信会社に製品をおろしており、海外ではずっと使われてきているメーカーです。また日本国内においてもビジネス向け製品をこれまで販売していました。

AirCard AC785について

NETGEARが提供しているモバイルルーターシリーズ AirCard は2009年から発売されており、現在の最新モデルが第4世代目。

今回説明のあった AC785 は第4世代のモデルとして、4G LTEによる高速通信にまで対応（CAには非対応）。現在国内で単独で発売されているSIMフリーのモバイルルーターの中ではミッドレンジ〜ハイエンドに位置するものとなっています。

本体サイズは定期入れより若干大きい程度ですがボディの材質がプラスチックとなっていることで”大きさの割には軽い”といった仕上がりになっています。対応している周波数は主にNTTドコモ（およびそのMVNO）の回線での使用が想定されており、NTTドコモが提供するFDD-LTEの4Band（Band1/3/19/21）に対応。3Gでも800/2100MHzを利用することが可能です。またLTEカテゴリーはCat4となっており、通信速度は下り最大150Mbps／上り最大50Mbps。その他、最大接続台数が15台と多いのは特徴といえます。

本体には1.77インチのカラーディスプレイ（タッチ非対応）を搭載。現在の使用状況はとても見やすく表示できるようになっています。

設定の確認・変更時に必要な操作は本体に搭載された2つの物理ボタン、専用モバイルアプリ、およびWeb上の管理ページより行なうことが可能。

モバイルアプリはiOS用、Fire OS用、Android用の3つがメインとなっている他、現状においてはWindows Phone用のものも存在しているそう。

従来の他社製モバイルルーターではWeb上の管理ページにて設定することの多いAPN情報などもモバイルアプリから弄ることが可能で、このモバイルアプリは搭載されている機能も多く、かなり使いやすそうな印象でした。

なお電源に関しては遠隔OFFのみ可能（遠隔ONは不可）。その他、Wi-Fiレンジ（電波を飛ばす距離）を調整するといったユニークな機能も搭載されている点は非常に興味深いポイントです。

バッテリーサイズは2,000mAhと特段大きいわけではありませんが、公表値では通信状態を維持したままでも連続で10時間という長時間の使用が可能とされています。バッテリーパックは取り外し可能となっているので、互換性のあるもの（純正品は現状単独で販売されていないため）を別に用意しておけば、より長い時間でも便利に使うこともできます。

発売当初は価格比較サイトの価格.comでも、SIMフリーのモバイルルーター部門で人気ランキング1位になっていたとの話も。

こちらは当日会場内に展示してあった AC785 の実機。なお前述の人気ランキングについては、その後NECからAtermMR04LNが発売された影響があり、2015年8月19日時点では人気ランキング2位となっています。

NECのAtermMR04LNは対応している周波数も幅広く、CAにも対応。かつSIMも2枚挿すことができると確かに機能面では優れていますが、本体価格はAC785より10,000円近く高くなっています。この2機種での購入検討に関しては「どこの回線（SIMカード）で使うか」「通信速度をどこまで求めるか」を意識した上で選択するのが賢いといえそうです。