IIJmio meeting 6

1月24日(土)に東京のIIJmio本社で行なわれた IIJmio meeting 6 に参加してきました。これまで様々なMVNOのSIMを試してきた私ですが、IIJmioの通信品質は他のMVNOと比較してもかなり安定している印象を持っています。そんな通信品質についてIIJmioの中の人が語ってくれたトークセッション ”IIJmioの通信品質について” の内容を今回はまとめておきます。

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IIJmioの通信品質について

”通信品質” というと一般的には通信速度(=speedtestで測定)の結果に目が行きがちですが、必ずしもそうではないですよ、という話から。

IIJmio meeting 6

通信サービスの品質とはおおまかに可用性(サービスが利用可能な状態か?障害発生時に迅速に復旧可能か?)と通信品質(通信速度、遅延、パケットロス、通信の安定性)の2つに分けられ、IIJmioではこの2つに対してそれぞれ品質を維持するための取り組みを行なっているとのこと。

可用性を維持するための取り組み

可用性を維持するための取り組みのキーワードは”冗長化”です。冗長化とは、システムの一部に障害が発生した際でもシステム全体の機能が停止することがないよう、予め予備の装置などを配置して障害に備えることを言います。

まずはMNOとの接続の冗長化。

IIJmio meeting 6

MVNOのSIMカードを使って通信する場合、基地局などの末端設備はMNO(IIJmioの場合はNTTドコモ)のものを使い、ここからMVNOのネットワークへとデータが流れます。このMNOの設備とMVNOの設備間のネットワークを冗長化して、障害への対策を行なっている、ということです。

続いてはインターネット接続の冗長化。

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MNOの基地局から流れてきたデータはMVNOのネットワークを通じてインターネットへアクセスしにいきますが、このMVNOとインターネットの接続も冗長化し、ここでも障害への対策を行なっています。

IIJmioにおけるインターネット接続の冗長化についてはIIJのホームページから詳しく見ることが出来ます。

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またさらにモバイル設備においても冗長化を行なっています。

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MVNOが管理するモバイル設備にはPGW(Packet Data Network Gateway)やGGSN(Gateway GPRS Support Node)、PCRF(Policy and Charging Rule Function)、OCS(Online Charging System)といったものがありますが、これらも全て冗長化することで常にユーザーが接続できる環境を維持に取り組んでいます。

続いて障害の検知と対応について。

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各機器に対して稼働状況の確認や各種ログの監視を実施していち早く異常を検知するべく取り組んでいるのはもちろんのこと、MVNO側では分からない問題(例:MNO側で発生している問題)についてTwitterや2chなども参照しているそうです。

異常を検知した際はIIJmioのエンジニアチームが直接対応しています。

IIJmio meeting 6

また新規設備の導入、機器のファームウェアの更新が必要な場合は事前の動作確認もIIJmioのエンジニアチームが直接行ないます。

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この事前の動作確認については、他社だとメーカーに丸投げをしているところも多いようです。このあたりを自前で行なっている点は「自分たちのシステムは自分たちの目できちんと動作確認済み(=自信あり)」と捉えることも出来るでしょう。

また障害発生時にはただ復旧対応するだけでなく、必ず次へ生かすべく、調査、再現試験、障害回避対応なども漏れ無く行なっているそうです

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通信品質を維持するための取り組み

通信品質を維持するための取り組みは大きく設計〜計画〜実施〜監視〜確認という流れになります。

まずはネットワークの設計。

IIJmio meeting 6

MVNOサービスにおいてのキモは適切な相互接続帯域内に如何に多くのユーザーを収容できるか、という点です。ここに無理にユーザーを詰め込んでしまうと”安かろう悪かろう”というサービスになってしまいます。ここがきちんと計算された設計になっているからこそ、普段IIJmioのSIMを使っていて不満を感じることがないのでしょうね。

IIJmioがネットワークを設計する際に考慮しているポイント。

IIJmio meeting 6

バースト通信とは瞬間的に高速で通信させる仕組みのことです。IIJmioではクーポンOFFの場合でも1回の通信につき75Kbyte(200kbps✕3秒間)であれば速度制限を掛けないバースト通信を許可しています。帯域に空きがあり、かつ瞬間的に速度を開放することでデータ転送がすぐ終わるのであれば、一律的に速度を縛る必要はないとの考えです。こういった仕組みも考慮した上でネットワークを設定する必要があるわけです。

相互接続帯域の確保についても、監視している利用状況から今後の予測を立て、定期的に増速の計画と実施に取り組んでいます。

IIJmio meeting 6

また設計・導入したシステムが計画通りに安定した品質を提供できているか確認するため、監視と確認も怠りません。

IIJmio meeting 6

通信品質の測定には Smokeping(ネットワークの遅延時間を視覚的に表示するツール)とIIJが独自で開発したプローブを用います。

IIJmio meeting 6

この際、私のようなガジェット好きが普段良く行なっているSpeedtestのように、最大速度の計測はしていないそうです。あくまで目的は安定した通信品質が提供できているかどうかの確認とのこと。

IIJmio meeting 6

この後、実施の測定結果を見せてもらいましたが、残念ながらここはオフレコ。

IIJmio meeting 6

加えてIIJmioの測定システムで他のMVNOの通信品質を見てみたらどうなっているのか?という興味深い内容も。

IIJmio meeting 6

まあ、もちろんここもオフレコですが(笑)

ただし測定を行なったMVNOのほとんどに共通する内容として、お昼の時間(12:00−13:00)と夜間帯(18:00−24:00)においては品質が低下する傾向にありました。

IIJmio meeting 6

併せて急激な品質低下が起こる理由についても説明が。

IIJmio meeting 6

最後に

他のMVNOと比べても安定感は高いと感じていたIIJmioですが、その安定感を維持するためにどういった取り組みをしているのかを中の人から直接聴けたのは良かったです。他社がどういった取り組みを行なっているのかも少し気になりますね。

またイベント当日はUstreamによるライブ配信も行なわれましたが、このセッション内で触れられたオフレコの部分については配信されておらず、会場に来た人だけが聴くことが出来ました。このオフレコの内容が実に興味深いものであったことを考えると、出来るだけ会場に行って聴くことをおすすめしたいです。

なお当日のその他のセッションについてもレポートを書いていますので、宜しければ併せてどうぞ。

 (関連記事)IIJmio meeting 6 参加レポート①。初めてのSIMフリースマホ選びのコツなどをIIJmioの中の人が教えてくれる良イベントでした

 (関連記事)IIJmio meeting 6 参加レポート②。MVNO政策の今後について総務省の担当者から詳しく話を聴いてきました

次回はフリートーク(という名目ではありましたが、実質は質問コーナー)の内容と参加レポートの総まとめをすることにします。では。